熟年離婚後の生活費はいくら必要?一人暮らしで困らないための家計見直しと収入源

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離婚後に一番不安なのは「毎月いくらで暮らせるか」

長年連れ添った夫との生活に限界を感じ、子どもが独立したのをきっかけに熟年離婚を考え始めた方は少なくありません。

でも、こんな不安が頭をよぎるのではないでしょうか。

「一人になったら毎月いくらかかるの?」「年金や財産分与だけで暮らしていける?」「離婚後、住む場所はどうするの?」

この記事では、熟年離婚後の生活費がどのくらいかかるのか、何を収入源にできるのか、そして家計をどう整えていくかを具体的に解説します。「離婚するかどうか」を考える判断材料として、ぜひ読んでみてください。

なお、年金分割・財産分与などの法律的な手続きは専門家(弁護士・社会保険労務士)への相談をおすすめします。この記事では制度の概要を紹介するにとどめています。

「お金の不安さえ解消できれば踏み出せる」という声を周りでよく聞きます。この記事は、そんな方の背中を少し軽くできればと思い、書きました。


熟年離婚後、一人暮らしの生活費はいくらかかる?

まず、離婚後に一人で暮らす場合の生活費の目安を確認しましょう。

総務省の家計調査によると、60歳以上の単身世帯の月間消費支出は約14〜16万円が目安とされています。ただしこれは統計上の平均値であり、生活スタイルや住まいの状況によって個人差があります。

※出典:総務省「家計調査」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/index.html

特に注意が必要なのは、住まいの形です。

持ち家をもらった場合

財産分与で自宅を取得できた場合、毎月の家賃負担はありません。ただし、固定資産税(年数万〜十数万円以上が目安、地域・物件によって異なります)や、修繕費・設備の更新費用が別途かかります。給湯器や外壁の補修など突発的な出費も想定して、ある程度の貯えを確保しておくことが大切です。

賃貸を新たに借りる場合

家賃が月5〜7万円とすると、生活費の合計は月18〜22万円前後になる可能性があります(条件次第で変わります)。

高齢者は賃貸審査が難しいと言われますが、近年は保証会社を利用することで入居できるケースも増えており、高齢者歓迎の物件も少しずつ増えています。それでも選択肢が狭まりやすいことには変わりないため、住まい探しは離婚前から早めに動き始めることをおすすめします。

実家に戻る場合

親や兄弟姉妹の実家に戻る選択肢は、住居費を大きく抑えられます。ただし家族との関係性や、将来的な介護の問題なども含めて検討する必要があります。


離婚後の収入源は何がある?

熟年離婚後に頼れる収入源を整理しておきましょう。

① 自分の年金(国民年金)

専業主婦として夫の扶養に入っていた方は、国民年金(老齢基礎年金)を受け取ることができます。

2026年度(令和8年度)の満額は月約70,608円(約7万円)。
※出典:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html

ただし、未納期間がある場合はこれより少なくなります。

② 年金分割で増える年金

婚姻期間中に夫が厚生年金に加入していた場合、離婚時に年金分割の手続きをすることで、将来受け取る年金を増やせる可能性があります。

年金分割には2種類あります。

合意分割: 夫婦間の話し合い(または調停・審判)で按分割合を決め、婚姻期間全体の厚生年金記録を分割する方法です。

3号分割: 2008年(平成20年)4月1日以降に第3号被保険者(扶養内の専業主婦・パート)だった期間について、相手の同意なしに2分の1の割合で分割を請求できる制度です。

ただし、年金分割で増える金額は「夫の年金の半分がもらえる」わけではありません。分割対象は婚姻期間中の厚生年金記録のみであり、基礎年金部分は含まれません。増加額は夫の収入・婚姻期間・共働きかどうかによって大きく異なり、月1万円台にとどまるケースも多く、一般的なサラリーマン家庭でも月数万円程度が目安とお考えください。

注意: 年金分割の請求には離婚後2年以内という期限があります。また、夫が自営業者など厚生年金に加入していない場合は年金分割ができません。詳しくは日本年金機構や社会保険労務士にご相談ください。

③ 財産分与

婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は、原則として2分の1ずつ分け合うのが基本です。専業主婦であっても、家事・育児を担うことで財産形成に貢献したと認められます。

対象となる財産の例として、預貯金・不動産・株式・退職金・積立保険などが挙げられます(婚姻前からの財産や相続で得た財産は原則対象外です)。

財産分与の金額は夫婦の財産状況によって非常に幅があり、数十万円から数千万円以上とケース差が極めて大きいです。裁判所の司法統計(令和5年)では「200万〜400万円以下」「600万〜2,000万円以下」の範囲が多いとされていますが、あくまで参考値です。自分の場合にどの程度になるかは、弁護士に相談して個別に試算することをおすすめします。

注意: 財産分与の請求は離婚後2年以内が原則です。退職金・不動産・株式などが含まれる場合は評価や交渉が複雑になるため、弁護士への相談を強くおすすめします。

④ パート・アルバイト収入

60代であれば、健康状態や体力に合わせてパートやアルバイトで収入を得ることも選択肢のひとつです。スーパーのレジ・清掃・介護補助など、シニア歓迎の求人は増えています。

ただし、働ける健康状態であること・お住まいの地域に雇用機会があることが前提になります。また年齢が上がるほど就職が難しくなる傾向があるため、離婚前から仕事探しを始めておくことが重要です。


収支シミュレーション|「年金+分割」でどのくらい足りる?

実際の収支感をつかむため、専業主婦で熟年離婚した場合の目安をシミュレーションしてみましょう。あくまで一例であり、個人の状況により大きく異なります。

想定条件(例)

  • 婚姻期間:30年
  • 夫:会社員(厚生年金加入)
  • 妻:専業主婦(国民年金のみ)
  • 離婚後:賃貸に引っ越し(家賃5万円)

月々の収入(目安)

収入源 月額(目安)
自分の国民年金 約5〜6万円
年金分割で増加分 約1〜4万円 ※婚姻期間・夫の収入次第で大きく異なる
パート収入(週3日程度・働ける場合) 約4〜6万円
合計(目安) 約10〜16万円

月々の支出(目安)

支出項目 月額(目安)
家賃・管理費 約5〜6万円
食費 約3〜4万円
光熱・水道 約1.4万円
通信費 約1〜1.5万円
医療・保険 約1万円〜(持病がある場合はさらに上振れすることも)
日用品・交際費など 約2万円
合計(目安) 約14〜16万円

収入と支出を比べると、パート収入がないと毎月数万円単位の不足が出やすいことがわかります。財産分与で得た資金を貯蓄に回しながら少しずつ取り崩す生活設計と、できる範囲での就労継続を組み合わせることが現実的です。


熟年離婚前に「必ずやっておくこと」リスト

離婚後の生活を安定させるために、離婚を決断する前に準備できることをまとめました。

夫婦の財産を把握しておく

預貯金の通帳・不動産の登記・株式・保険の証書など、婚姻中に形成した財産の全体像を把握しておきましょう。離婚交渉が始まると相手が財産を隠すケースもあるため、事前にコピーを取っておくことが大切です。

年金分割のための情報を確認する

「年金分割のための情報通知書」は、日本年金機構に請求することで取得できます(夫婦のどちらか一方からでも請求可能)。分割対象となる婚姻期間や標準報酬額を確認しておきましょう。

(日本年金機構:
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html

住まいの見通しを立てる

財産分与で自宅をもらうか、賃貸に移るか、実家に戻るか——住まいの方針は生活費に直結します。早めに動き出すほど選択肢が広がります。

仕事・収入の見通しを立てる

専業主婦の方は特に、離婚後の収入をどう確保するかを事前に考えておきましょう。ハローワークや地域の就労支援窓口を早めに訪ねてみることをおすすめします。

専門家(弁護士)に相談する

財産分与・年金分割・慰謝料の交渉は、自分だけで行うと損をするケースがあります。法テラス(国が運営する法的支援機関)を利用すれば、収入・資産の要件を満たす方は弁護士費用の立替制度が使える場合があります。まずは無料相談から始めてみてください。


一人暮らしの生活費、まずは「固定費」から見直す

離婚後の家計を「削る」ことより「整える」ことに意識を向けると、無理なく続けやすくなります。特に効果が大きいのが固定費の見直しです。

食費は「自炊だけ」にこだわらない方が続きやすい

毎日自炊するのが理想ですが、一人暮らしになると料理のモチベーションが落ちやすく、外食やコンビニに頼りがちになることも。結果として食費が逆に高くつくこともあります。

そこでおすすめなのが、疲れた日や体調が悪い日だけ宅配食を活用するという使い方です。管理栄養士が監修した宅配食は栄養バランスもとれており、食材ロスも防げます。1食500〜800円前後が目安で、外食より安く済むケースも多く、トータルの食費が安定しやすくなります。

まずは週2〜3回の置き換えから始めてみてください。「作らない日」を決めるだけでも、家計と気持ちの両方が楽になります。

【おすすめ】

  • nosh(ナッシュ):冷凍タイプ。電子レンジで温めるだけ。糖質・塩分に配慮したメニューが充実。
  • ワタミの宅食:毎日配達で手間いらず。やわらかいおかず中心でシニア世代に人気。
  • 三ツ星ファーム:コース制の冷凍宅配食。カロリー・塩分を調整したメニューで健康管理も安心。

通信費は見直し効果が大きい固定費のひとつ

スマートフォンを大手キャリアで契約していると、月7,000〜8,000円以上かかることも珍しくありません。格安SIM(MVNO)に切り替えると、同程度の使い方で月1,500〜3,000円程度に抑えられるケースがあります(プランや使用量によって異なります)。

固定費は一度見直すだけで毎月ずっと節約効果が続くため、まずスマホ代から確認してみると、無理なく家計を整えやすくなります。

医療費・保険も定期的に見直す

かかりつけ医を決めて複数の病院をまとめることで、診察費・交通費・薬代を抑えやすくなります。また、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を選ぶことで薬代を抑えられる場合があります。持病がある方は医療費が平均より大きく上振れすることもあるため、高額療養費制度の仕組みをあらかじめ確認しておくと安心です。

公的サポートを把握しておく

収入が少ない場合、以下のような公的サポートを利用できる可能性があります。実際に利用できるかどうかは個人の状況によって異なるため、お住まいの市区町村の窓口に相談してみてください。

  • 住民税非課税世帯への給付金・減額措置
  • 国民健康保険料の減額・免除制度
  • 低所得者向けの住宅支援(公営住宅など)


離婚後の家計を整える3ステップ

今日〜1週間:現在の生活費と夫婦の財産を書き出す

「自分一人で暮らすといくらかかるか」「夫婦の財産はどのくらいあるか」を紙に書き出してみましょう。数字を見ることで、漠然とした不安が具体的な課題に変わります。

今週中:年金見込み額を確認する

「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で現在の年金見込み額を確認してください。年金分割後の増加額についても、日本年金機構の窓口で試算してもらうことができます。

(ねんきんネット:https://www.nenkin.go.jp/n_net/

1ヶ月以内:固定費を1つ見直す+専門家に相談する

スマートフォンの料金・保険・サブスクのどれか1つから見直しを始めましょう。同時に、財産分与や年金分割の手続きについては弁護士への相談を早めに進めることをおすすめします。法テラスの無料相談や、弁護士事務所の初回無料相談を活用してみてください(法テラスは収入・資産の要件があります)。

法テラス公式:https://www.houterasu.or.jp/


まとめ|離婚後の家計は、削るより「整える」ことが大切

熟年離婚後の生活費について、ここまで整理してきました。

  • 一人暮らしの生活費の目安は月14〜16万円台。賃貸の場合は18〜22万円前後になることも
  • 収入源は「自分の年金+年金分割+財産分与+パート収入」の組み合わせが基本
  • 年金分割で増える金額は月1〜数万円程度が目安。それだけで生活費を賄うのは難しいケースが多い
  • 財産分与の金額はケース差が非常に大きく、個別の状況により異なる
  • 法律的な手続きは弁護士・社会保険労務士への相談を強くおすすめ
  • 食費・通信費などの固定費を整えることで、毎月の家計を安定させやすくなる

離婚後の家計は「我慢して削る」より「無理なく整える」方が続きます。まずは食費か通信費のどちらか1つから見直してみてください。

一人になっても、自分らしく安心して暮らせる土台を、今から少しずつ整えていきましょう。